次期主力自家用車 (5) 日産セレナ

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可変空力部品といえば、現時点ではF1の DRS があるが、かつて「可変空力部品つきの市販車」があった。変形するのはフロントスポイラーで、車速に応じて折りたたまれていたスポイラーが展開し、基部とあわせて効果を上げるというものだった。この表現では展開部が相当な大きさなのではないかと誤解されそうだが、スポイラーの伸長部は数センチ、もちろん効果には疑問符がついていた。当時、メーカーは市販車「世界初」ということをしきりと強調したものだが、その後、同車種はもちろん、同社の車や他社の車について「可変空力部品」が装着されたものを寡聞にして知らない。もっとわかりやすく言えば、キワモノだったということだ。そんなキワモノを世に送り出してしまったのがゴーン以前の日産だったのである。

Nissan Serna ,by TTTNIS,2011-04-11, public domain
スマートマルチセンターシートは果たしてエルグランドなど日産の他のミニバンにまで導入されるのだろうか。

さて、ここまでは候補を絞るまでの「周辺」車種について検討してきた。あるいは、Doblo や D:5、NV200 を検討したからこそ候補車種を「排気量 2ℓのトールミニバン」と表現できるようになった、といってもよい。いよいよ本命車種について検討を始めた。まずは日産セレナである。ここでようやく冒頭の「可変空力部品」に話が繋がるのだが、そのセレナの展示車に乗ってみた。すると、前列席から二列目席まで、なにやらレールのようなものが走っている。カタログをみると、前列席と二列目席の間を中央部分が移動するというギミックになっているらしい。スマートマルチセンターシートと呼称しているそうだ。たしかにシートアレンジが豊富になるし、なんといっても二列目左側の席がスライドするので乗り降りにも便利なことは確かだ。少なくとも可変式フロントスポイラーよりはまともなアイデアだ。

それにしても、小さい子供を二列目席に乗せたら、菓子やらジュースやらをこぼしてこのレールがすごいことになるのではないか、すなわちスマートマルチセンターシートをスライドさせようとしても粘着するような事態が待っているのではないか、というのが一目見たときの感想だ。ようするに、凝らなくてもいいところに凝って変なギミック着けちゃったんじゃないかなぁ、と思ったのだ。

その他には、外観がやや好みではないな、と思ったものの、可も不可もなし、という評価で終わったのだが、結局この「可も不可もなし」と日産らしい凝ったギミックが仇となっていつの間にか選外となった。本当に、「なんとなくイヤ」ぐらいの理由でしかない。

それにしても楽しみなのは、次のモデルチェンジ、とくにメジャーチェンジの際にスマートマルチセンターシートが継承されるかどうかだ。日産の他車種や他社が真似するとも思えないのだが、もし他社が同様の機構で追随すれば自動車のシートレイアウトに革命をもたらした発明と評価できよう。モデルチェンジの際になにも言わずに引っ込めてしまうのなら可変式フロントスポイラーと同様、キワモノだったということになる。スマートマルチセンターシートの明日はどっちだ?


作成: 2012-06-27 06:26:03.0更新: 2012-06-28 11:03:11.0
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