市井の本屋は電子書籍の夢を見るか

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c-shelf のチラシ コケなければいいんだけど。

電子書籍によって商品としての本の物理的制約からの開放されることは歓迎したいが、電子書籍導入によって予想される市井の本屋の窮状を如何にせん、と懊悩していたところ、c-shelf システムによって市井の書店で電子書籍を買うことができることを知った。

c-shelf システムによる電子書籍の買い方には、3つの経路がある。「一応システム上可能なのでこの経路も作っておきました」な経路が、c-shelf ウェブサイトで検索して、「商品画面を本屋に持参」し購入というもの。公共交通機関で通勤していれば、あるいはその途上でスマートフォンなどで検索して本屋で決済、という使い方があるかもしれないが、自動車生活をしていると検索場所が必然的に自宅か職場他、であるからそこで検索した画面を保持/または印刷して本屋に寄る、というのはあんまりな手間暇であろう。スマートフォン・タブレットからは「立ち読みコンテンツ」を利用可能。しかし、Kindle 他で手にはいるのならば本屋に行かずにそのまま決済したほうが、簡単で便利。なお、このウェブサイトを本屋店頭の端末から利用する副経路も存在する。

本屋に置かれている「買い物カード」を用いる経路では、置かれているカードの種類が購入できる電子書籍を限定してしまう。実物の本があれば立ち読みが可能 (なこともある)。私の訪れた書店では、一般書架とは別に「買い物カード」架が設置されていたが、本屋の店内スペース的にもよいことはないのではないか。カードなので、収納とディスプレイに工夫すれば蔵書量を増やすことができるのかもしれない。しかし、立ち読みのできない本屋については存在理由を疑うべきだと思う。

本(実体)をレジに持っていってその電子書籍版を購入、というのが本命だろう。現時点では電子書籍化されている本が少ない。電子書籍として購入可能な本には電子書籍でも買える、というラベルがついているのだそうだ。これなら、ふつうの本として立ち読みで中身を試した後、電子書籍として購入できるというほぼ理想的なシステムである。

ただ、件の「ラベル」がどのようにつけられているのかが問題だ。電子書籍用の「見本」という扱いで入荷した本の一部にだけつけられているのか、それともすべてについているのか。また、電子書籍の品揃えを増やすことが重要だ。単行本についてはいろいろとこだわりがあるかもしれないが、文庫・新書・マンガについては新刊を原則的に電子書籍化し、既刊の電子書籍化を進め、これらは電子書籍を購入可能とすべきだ。また、単行本については例えばあの悪名高いバーコードのあたりに "電子書籍アイコン" をつけ、ラベルに頼らなくても電子書籍の有無を判定出きるようにしていただきたいものだ。

いずれの経路でも、最終的には「バウチャーシート」を受け取って、シートのQRコードを使って書籍をダウンロードする仕組みになっている。これも書店レジの非接触端末にスマートフォンやタブレットをかざせばダウンロードできるようにするなど、一捻り欲しいところだ。

c-shelf は出版物取り次ぎのトーハンが開発したシステムだ。双璧をなす日販がこのシステムにどう乗ってくるか、というのも課題となるのだろうか。とにかく市井の本屋が生き残るためにも、このシステムがうまく稼働していくことを祈りたい。


作成: 2013-06-10 09:30:25.0更新: 2013-06-12 10:11:18.0
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