十匹は「じっぴき」であったのか

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四歳と三月を過ぎた長男から絵本を読んでとねだられることが増えてきた。絵本では、十匹が「じっぴき」と表記されている。いや、「じゅっぴき」の誤植だろう、と思ったのだが、いろんな本を見ても「じっぴき」である。ことここに至って自分が間違っているのではないか、とようやく思い当たった。ネットで検索してみると、「じっぴき・じゅっぴき問題」とでもなづけられそうなぐらい質問やら回答やらが出てくる。そして予想したとおり、「じっぴき」が正しかったのであった。

言葉は生き物だから「正誤」はない、わけでは決してないのであって、教育出版の「小学校のサイト⇨国語⇨参考資料⇨言葉のてびき⇨Q7『十匹』は『ジッピキ』か『ジュッピッキ』か」によれば、「漢字音の系統からすれば,『十』の字音がもともと『ジフ』であったことから,『ジッ』に変化するのが本来の形」で、「現在の段階では,『ジッ』という発音のほうを標準的なものと認めておくのが妥当である」。「じっぴき」とすべき根拠があるのだ。

実は、全国の16歳以上の男女を対象とした平成15年度「国語に関する世論調査」(文化庁)によれば、75.1% が「じゅっぴき」と読んでいたそうで、「じゅっぴき」は多数派なのである。今まで間違いを指摘されずに過ごしてきたのはなぜだろう、と思ったのだが、なんのことはない、みんなで間違っていたのだ。文書にするときにはふつうに「十匹」だから誤りに気づきようがないし、会話でも「じゅっ」「じっ」の誤りは気がつきにくいかもしれない。かくして子供に絵本を読んでやるまでそれと気がつかずにいられたのだ。

そういえば、「十把一絡」だけは「じゅっぱ」ではなく「じっぱ」と読んでいた。残念ながら正しく読む片鱗があったわけではなく、そういう四文字熟語だと思っていたのであった。


作成: 2013-08-23 14:16:35.0更新: 2013-08-23 14:16:35.0
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