禁忌を笑う

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NHK FM でラテン音楽特集を放送している。「とことん真冬のラテン」、DJはパラダイス山元という。特集2回目でその山元氏がラテン音楽に「はまる」きっかけとなったのが Perez Pradoの Taboo だったと回想している。

Perez Pradoの Taboo というより、ドリフターズの「8時だョ!全員集合」で、加藤茶のギャグ「ちょっとだけよ」のタブーとして知られている楽曲である。山元氏も「8時だョ!全員集合」でこの曲に出会ってラテン音楽にのめり込んでいったとのこと。それにしても、この曲がどんな音楽のジャンルに分類されるのか、などと今まで考えてみたことはなかった。この曲は加藤茶の「ちょっとだけよ」の音楽として空前絶後、天上天下唯我独尊のザ・タブーだったからである。そういわれて見れば確かにラテン音楽なのだろう。

今日では名のあるラテン音楽家となった山元氏とラテン音楽の出会いが「ちょっとだけよ」とは誰も意外に思うらしく、冗談扱いされてしまうのだそうだ。そしていよいよ Taboo がかかる。こちらとしてはラテン音楽である Taboo を真摯に聞く体制を整え、数少ないラテン音楽の知識を総動員して鑑賞しようとした。そのときだ。

顔の筋肉がゆるむ。声をたてることはないが、笑ってしまっているのだ。Perez Pradoの Taboo を聴こうとしているのに、加藤茶の「ちょっとだけよ」の伴奏曲ザ・タブーを聞いてしまっている。緩む顔を引き締めようと努力しても無駄だ。笑いが優る。愉快だから笑うのではなく、笑うから愉快な気分になるという説が正しいということを実感する。

もはや加藤茶が「ちょっとだけよ・あなたも好きねぇ」というその時の下品な姿態すら記憶の彼方、思い浮かべることはできない。しかしタブーが流れるだけでそれを見て爆笑していたその時に引き戻されてしまうのだ。条件反射よりは少し複雑な機序が働いているようにも思う。それにしてもとにかく面白いので、身罷った折の出棺の際には、この曲をかけるように言い遺くのも一興か。


作成: 2014-01-16 20:23:14.0更新: 2014-01-16 20:23:14.0
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