ingres VII を作る(2) 七色の光芒は出っ歯・竹槍の幻か

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夜景の ingres VII 困ったことに美しい。

「出っ歯・竹槍」が何を指すのか知らないものは幸いである。正確には「出っ歯スポイラー」と「竹槍マフラー」で、二十世紀の珍走団の醜悪な装備である。スポイラーはチン・スポイラーで、自動車前面に装備して車体下への空気の流入を阻害するエアロパーツである。チン・スポイラー自体が発展途上の自動車空力の試行錯誤の産物なのだが、珍走団のそれは無意味に巨大で、走行性能を高めるどころか壊さないようにゆっくり走らなくてはならないというまさしく珍奇なシロモノであった。マフラーにしても、排気効率に寄与して少しでもエンジン出力を上げようと長さや配置に苦心するものと想像されるが、まさしく「竹槍」なマフラーはもはや排気が導入されていたかすら定かでない、車体後部に屹立する円筒で、エンジン出力向上どころか、「出っ歯」同様に壊さないようにゆっくり走らなければならない本末転倒の実物大のサンプルである。要するに、性能向上という本来の目的を忘れて、無意味かつ派手な装飾なのだ。

PCケースの内部を七色の光で満たそう、というアイデアがどこから出たのだろうか。マザーボードに状態表示のための LED はあった。HDD やその他のパーツにも、必要に応じて状態表示 LED がなかったわけではない。しかし、そのような LED は常に見られていたわけでななく、 PC の状態を知りたい時にケースを開けて確認するものであった。

そもそも、重要な電磁シールドであって周囲に電磁ノイズをばらまかないようにするPCケースの一部をクリアプラスチックにするという料簡が意味不明である。しかもそれが七色の光が彩るケース内部を見せるためだそうだから、走行性能をアップすることを目的としない空力/出力強化パーツ「出っ歯・竹槍」のようなものだ。どうやらこのような七色の光による飾りをもつものを「ゲーミングPC」というらしい。迂闊にも、ingres VII に使用した "ASUS ROG STRIX H370-I GAMING" はそのようなマザーボードであったのだ。マザーボードのマニュアルにあった "RGB LED" なるものが、LEDを接続するジャンパピンでなかったのは大いなる蹉跌であった。

試運転の段階で生じた七色の光芒に失望したものの、BIOS の設定で消灯することができることを確認し、そもそもそれを見るためのクリアパーツもないのだから、PC版の出っ歯・竹槍なんか装備するものか、と思ったのだが。


作成: 2018-08-07 22:44:27.0更新: 2018-08-08 20:49:03.0
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