にごの周辺

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ようやく「もへじ『にご』う」氏の日記を読み追えた。というか、現在に追い付いた。「もへじ」氏とのやや疎遠になっているのではないかという印象を受けたのは、単に「にご」氏がここ三ヶ月ほど忙しすぎた、ということだけだったらしい。日記のサブタイトル上に示されるコメント「・・・ああ、今日も今日だねぇ。サンデー毎日、北大路公子の連載始まってますよ。」にも疎遠さを感じていたのだが、日記を通読してみるとこれは決して突き放したもののいいようではなく、「にご」氏の独特の親愛の表現なのだ。

話は変わるが、小説が好きなので小説を読まないようにしている。とくに長編は避けるべきなのだ。優れた小説はその世界観の中に思い切り引きずり込んでくれて、その世界に生きている錯覚の中、実生活の方が夢のように思えてくるようになるものなのだ。「寝食さえ忘れる」という表現は比喩でもなんでもない。10年ほど前から酒を飲みながら読む、という習慣を身につけたのだが、たぶん体は酔っても頭は酔わずに読みつづけている。浅田次郎「プリズンホテル」四部作や「蒼穹の昴」を読んだときなどは徹夜と肉体的酩酊でなかなか凄まじいことになった。

「にご」氏は決して文筆業の人ではないので、人を異世界に叩き込む筆力があるわけではない。「にひひ。」とか「むふふ。」など、本人のヒトトナリを知らないと理解できない表現を含む悪文書きでさえある。それはそうだ。これはあくまで日記なのだから、ウェブ日記であろうとも著者の「ひととなり」を知る人が読むことは前提条件としてかまわない。にもかかわらず、さすがに 5年半分の日記を読んでいると、途中から「にご」氏の生きる世界というものに引きずり込まれてしまって、よい小説に引きずり込まれたのと同様の状態となった。小説家の語り口のうまさは容易に異世界へ導いてくれるが、そのようなことを意図していない日記でも通読は異世界の門となりうるのだ。

うっかり入り込んだ異世界から本日記をもって抜けだし、現実に戻らねば。


作成: 2006-12-11 12:48:34.0更新: 2006-12-11 13:39:19.0
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