KISS

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KISS: Keep It Simple, Stupid.
「簡潔なままにしとけ、ばかやろう。」

米ロッキード社の名航空機設計者、故ケリー・ジョンソンが、彼の設計チーム「スカンク・ワークス」の座右の銘としていた言葉だそうだ。

ジョンソンが設計した航空機には、F-104 スター・ファイター、U-2、SR-71 ブラックバードなどがあり、とても「シンプル」とはいえない航空機ばかりであった。にもかかわらず "KISS" という座右の銘があったとすれば、これらの航空機ももっと複雑にする設計もありえた、ということなのだろうか。


F-104J。
こうしてみると実にグラマラスな曲線を持った美しい戦闘機である
。これのどこが「シンプル」なのだろうか。
2003年10月26日、石川航空プラザにて撮影。

もちろん、複雑にするために複雑にするのではない。スパイ機として有名な U-2 は、自転車式の脚を持っていた。自転車式ということは滑走をやめると傾いてしまう。離陸時には「補助輪」をつけて離陸するのだがそれは離陸後投棄していしまう。着陸時はどうするかというと、主翼のはしが橇のようになっていて、主翼端を滑走路にこすり付けながら着陸する。したがって U-2 は離着陸がかなりナーバスな航空機になってしまった。

技術者としては、「何とかしたい」と思う部分である。この、あたりまえに「なんとかした」結果、補助輪の展開・収容装置そのものや、それに伴う主翼の重量増、それに耐えるための主翼の構造強化、強化に伴う重量増…という悪循環に陥っていくことはよくあることなのだ。

"KISS" はこのような悪循環に陥ることを防ぐ魔法の呪文である。航空機設計だけではない。プログラミングにおいてもちょっとしたことを何とかするためにプロジェクト全体の改訂が必要になることがある。そんなときに "KISS" を思い出し、踏みとどまる勇気も必要だ。

しかし、"KISS" には重大な弱点がある。それは、「何とかしたい」部分が残されることではない。「何とかしたい」と思っている時に限って、"KISS" を忘れてしまうことなのだ。


作成: 2003-10-07 13:45:05.0更新: 2003-10-07 13:45:05.0
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