富山県の市町村合併

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私は富山県民8年生である。現住所である富山へは、仕事の都合で移ってきた。ようやく県内地理、市町村名や大まかな位置、特徴などがわかってきたところである。

一方、自治体の自立化を目指した「平成の大合併」がここ富山県でも進展しつつある。市町村の合併は機能組織としての自治体政府の効率化に役立つが、心情的な共同体としての地域の再編成も伴い、機能と心情のトレードオフ、まさに夏目漱石の「知にはたらけば角が立つ。情に棹させば流される」問題である。ここでは、富山県内の市町村合併について、県民8年生の思うところを述べていきたい。

富山県内の各地域 (広域圏) 2004年01月27日

富山県は5つの行政広域圏に分かれている。東から、新川 (にいかわ)、富山 (とやま) 、射水 (いみず)、高岡 (たかおか)、砺波 (となみ) の各広域圏である。行政広域圏では、市町村単独では設置・運営の負担が大きすぎるごみ処理施設など行政施設を共同で運営している。いわば既存の市町村連合体なわけで、市町村合併はまずこの広域圏の中の市町村同士の合併が考慮の対象となるのは自然の成り行きである。

この広域圏の区画は、「郡」の区画に準じているように見える。このあたりが富山県で育たなかったものにはよくわからないことなのだが、富山県の「郡」はどのように区画されている(た)のだろうか。もちろん、現町村については明らかなのだが、市政に移行した自治体ではお里の郡がわからない。ひとつ調べてみるとしよう。

新川広域圏
http://www.town.asahi.toyama.jp/ 朝日町 下新川郡 役場現住所から
http://www.town.nyuzen.toyama.jp/ 入善町 役場現住所から
http://kurobe.city.kurobe.toyama.jp/ 黒部市 1954年 2町(桜井町/生地町)の合併で市制施行
http://www.town.unazuki.toyama.jp 宇奈月町 役場現住所から
http://www.city.uozu.toyama.jp 魚津市 1952年 12町村(魚津町/下中島村/上中島村/松倉村/
上野方村/下野方村/片貝谷村/加積村/道下村/経田村/天神村/
西布施村)の合併で市制施行

新川広域圏は、下新川郡の市町で構成されている。郡がそのまま広域圏としての機能をもった例である。

富山広域圏
http://www.city.namerikawa.toyama.jp/ 滑川市 中新川郡 1954年 中新川郡滑川町より市制施行
http://www.town.kamiichi.toyama.jp/ 上市町 役場現住所から
http://www.vill.funahashi.toyama.jp/ 舟橋村 役場現住所から
http://www.town.tateyama.toyama.jp/ 立山町 役場現住所から
http://www.city.toyama.toyama.jp/ 富山市 富山市 1889年 市制施行
中新川郡 1966年 水橋町 併合
婦負郡 1920年 桜谷村 併合
1926年 東呉羽村 併合
1960年 和合町 上新川郡 富南村 併合
1965年 呉羽町 併合
上新川郡 1935年 奥田村 併合
1940年 東岩瀬町/新庄町 併合
1942年 堀川町 併合
http://www.town.ohyama.toyama.jp/ 大山町 上新川郡 役場現住所から
http://www.town.osawano.toyama.jp/大沢野町 役場現住所から
http://www.town.fuchu.toyama.jp 婦中町 婦負郡 役場現住所から
http://www.vill.hosoiri.toyama.jp/ 細入村 役場現住所から
http://www.town.yatsuo.toyama.jp/ 八尾町 役場現住所から
http://www.vill.yamada.toyama.jp/ 山田村 役場現住所から

富山広域圏は、富山市と、上新川郡・中新川郡・婦負(ねい)郡から構成されている。広域圏の中核ともいうべき富山市は、1889年から市制が施行され、所属郡はない。富山市は広域圏に所属する三郡の町村を併合して版図を拡大しており、このあたりに三郡構成の広大な広域圏が形成された事情がありそうだ。

射水広域圏
http://www.vill.shimo.toyama.jp/下村 射水郡 役場現住所から
http://www.city.shinminato.toyama.jp/ 新湊市 1951年 射水郡新湊町より市制施行
http://www.town.oshima.toyama.jp/大島町 役場現住所から
http://www.town.kosugi.toyama.jp/ 小杉町 役場現住所から
http://www.town.daimon.toyama.jp/ 大門町 役場現住所から

射水広域圏は射水郡の市町村で構成され、新川広域圏と同様、郡がそのまま広域圏の機能を持った例である。

高岡広域圏
http://www.city.takaoka.toyama.jp/ 高岡市 高岡市 1889年 市制施行
射水郡 1917年 掛開発村 併合
1925年 下関村 併合
1928年 横田村/西条村 併合
1933年 二上村 併合
1942年 伏木町/能町村/守山村/野村/佐野村/二塚村 併合
1951年 牧野村 併合
西砺波郡 1949年 福田村 併合
1951年 国吉村 併合
1953年 石堤村/東五位村 併合
1955年 立野村 併合
1966年 戸出町 併合
東砺波郡 1966年 中田町 併合
氷見郡 1953年 太田村 併合
http://www.city.himi.toyama.jp/ 氷見市 氷見郡 1952年 3町村 (氷見町/余川村/碁石村/八代村) の
合併で市制施行
http://www.town.fukuoka.toyama.jp/ 福岡町 西砺波郡 役場現住所から
http://www.city.oyabe.toyama.jp/ 小矢部市 1962年 2町 (石動町,砺中町) の合併で市制施行

高岡広域圏は、高岡市と、氷見郡、西砺波郡の市町で形成されている。中核 (のはず) の高岡市は射水郡の町村を多く併合しているので、射水郡 (射水広域圏の市町村) もこの広域圏に属する選択肢があったと思われるが...。このあたりの問題については、高岡広域圏を中心とした「日本海市」についてとりあげることになるだろう。西砺波郡の福光町のみが砺波広域圏の所属となっているが、これは地理的な事情によるものと思われる。

砺波広域圏
http://www.city.tonami.toyama.jp/ 砺波市 東砺波郡 1952年 6町村 (中野村/油田村/庄下村/五鹿屋村/出町/林村)の
合併で砺波町
1954年 南般若村/柳瀬村/太田村/東野尻村/
栴檀山村/栴檀野村/般若村/東般若村併合で市制施行
1955年 鷹栖村併合
西砺波郡 1954年 高波村併合で市制施行
1957年 若林村(一部)を併合
http://www.town.shogawa.toyama.jp/庄川町 東砺波郡 役場現住所から
http://www.town.inami.toyama.jp/ 井波町 役場現住所から
http://www.town.fukuno.toyama.jp/ 福野町 役場現住所から
http://www.vill.toga.toyama.jp/ 利賀村 役場現住所から
http://www.vill.taira.toyama.jp/ 平村 役場現住所から
http://www.vill.inokuchi.toyama.jp/ 井ノ口村 役場現住所から
http://www.town.johana.toyama.jp/ 城端町 役場現住所から
http://vill.kamitaira.toyama.jp/ 上平村 役場現住所から
http://www.town.fukumitsu.toyama.jp/ 福光町 西砺波郡 役場現住所から

砺波広域圏は主に東砺波郡から構成され、地理的に高岡広域圏に属するより利便性の高い西砺波郡福光町が参加している。中核となる砺波市は主に東砺波郡の町村合併で誕生・発展してきたが、一部西砺波郡の村も併合している。

まとめ

富山県内の広域圏は、郡の単位で構成されている。唯一の例外は、西砺波郡福光町で、地理的に福光町は「西」砺波であるものの、高岡広域圏に入るにはやや南に偏りすぎており、砺波広域圏のほうが行政の共同作業やサービスの利便性が高いからと思われる。したがって、広域圏は基本的には郡または複数の郡から構成されており、地理的な条件を考慮して例外があるものと考えてよいだろう。

新川広域圏

2004年01月27日

新川広域圏は、魚津市・黒部市・朝日町・入善町・宇奈月町 5市町から構成される。当初は広域圏合併という方向性も打ち出されていたのだが、魚津市だけが合併協議に参加しなかった。

新川広域圏各市町の人口
http://www.town.asahi.toyama.jp/ 朝日町 http://www.town.nyuzen.toyama.jp/ 入善町 http://kurobe.city.kurobe.toyama.jp/ 黒部市 http://www.town.unazuki.toyama.jp 宇奈月町 http://www.city.uozu.toyama.jp/ 魚津市
16,161人 28,585人 36,893人 6,553人 47,136人

新川広域圏では、黒部市・朝日町・入善町・宇奈月町の4市町が合併協議会を設置、合併への協議が進められている。

  1. さまよえる魚津市

    魚津市は 1952年市制施行。江戸時代には新川郡を統括する魚津城/町奉行がおかれ、新川広域圏の歴史的中核である。もうひとつの市である黒部市は 1954年市制施行。YKK の『城下町』である。いわば、伝統の魚津市と新興の黒部市が隣接し、広域権での主導権争いを繰り広げていたらしい。よく言えばライバル、悪く言えば敵対関係にあるようだ。少なくとも魚津市民には「後発の黒部には負けたくない。」という意識はあるようだ。

    最近では、介護保険組合とケーブルテレビでひと悶着会ったらしい。介護保険組合は魚津市が先行して設置したのだが、他の市町の参加をめぐって「誘った」「断られた」という水掛け論状態になり、魚津市を除く市町の組合ができてしまった。ケーブルテレビのヘッドエンド(放送局)は魚津市のはずがなぜか入善町になってしまった。

    新川広域圏による合併が実現すると、魚津市は地理的に新市の西の周辺部になる。地理的なバランスから考えて、市庁舎は (よほどほかの点で譲歩しなければ) 魚津には設置されないだろう。新市名についても、観光ブランドとしては蜃気楼の魚津と黒部渓谷とダムの黒部 (黒部渓谷・ダムは実は宇奈月町に属するが) がよい勝負をするにしても、すくなくとも魚津市にはならないだろう。

    たとえ新設合併だとしても、魚津市が新市の周辺部として新興黒部に埋没していく恐れを魚津市民が抱いたとしても不思議ではない。

    2000年国勢調査時の魚津市の人口は 47,136 人。今後の望ましい規模とされる 100,000人の半分以下で、合併せず「単独」でやっていけるか不安がある。そこでさかんに広域圏の異なる滑川市にラブコールを送っているが、滑川市 (人口 33,363人) は単独の方針ので消極的なようだ。

  2. 新「黒部市」

    魚津市を除く 黒部市・朝日町・入善町・宇奈月町の1市3町は、法定協議会を設置し、順調に合併する... かのように見えた。ところが (ありがちなことだが) 市役所の位置をめぐって雲行きが怪しくなってきた。

    新市名は「黒部市」に決まった。ネームバリューからいって妥当であろう (魚津市が加わっていたら『新川市』あたりになっていたかもしれない)。この新市名の決定のあたりから、市庁舎の位置をめぐる駆け引きが始まっていた。黒部市は市庁舎を手放したくないようである。

    新「黒部市」では、新市の地理的中心は宇奈月町になる。ただし、新市域の南東の大部分は山岳地帯で、人口の集中する平野部で地理的中心を考えると、入善町内になるだろう。市庁舎は入善町に、というのが黒部市を除く 3町の考えだ。

    新市名については、入善町は「既存名を使用しない」という方針を採っていた。ずばり「黒部市」ではいやだ、と主張していたのであるが、合併協議会ではこの主張を撤回し、新市名「黒部」に「譲歩」した。入善町としては、これにより「市庁舎位置に関する黒部市の譲歩」の伏線をひいたわけだ。しかし、黒部市議会は市庁舎位置の決定先送りを提案してきた。

    入善町はこれに反発、協議会への参加を凍結している。ここへきて新「黒部市」合併は空中分解の可能性がでてきた。野次馬評としては、黒部市の地域エゴイズムとしか見えない。もし本当に合併を推進する気があるのなら、黒部市は市庁舎問題では譲歩すべきだろう。

富山広域圏 (1) 中新川郡

2004年02月07日

富山広域圏は中新川郡・上新川郡・婦負郡系の市町村から構成されている大規模な広域圏である。合併へのスタンスは、とくに中新川郡では他の二郡とは異なっているので、富山広域圏(1) 中新川郡区として個別に扱うことにする。中新川郡区は、一言で言って「独立心旺盛」なのである。

中新川郡各市町村の人口
http://www.city.namerikawa.toyama.jp/ 滑川市 http://www.town.kamiichi.toyama.jp/ 上市町 http://www.vill.funahashi.toyama.jp/ 舟橋村 http://www.town.tateyama.toyama.jp/ 立山町
33,363人 23,462人 2,153人 28,513人

まず、特筆すべきなのは舟橋村である。この村は『独立』、合併しないことを宣言している。昭和の大合併のときは県知事から立山町との合併を進められたのだが断っている、筋金入りの独立独歩の自治体なのである。独立していることのメリットも生かしている。たとえば、市街化調整区域の早期解除により、宅地化を進め、私鉄駅と合体したユニークな図書館を設置するなど、合併して他の市町村の周辺になってしまっては実現できなかったであろう政策を実施している。信念を持って独立を選択しているわけだ。

滑川市はある意味ではさまよっている。広域圏合併で (形式上は新設合併とはいえ) 富山市に併呑されるか、東の魚津市と合併するか、独立を保つか。現在の選択は「独立」であるが、おなじくさまよえる魚津市からは盛んにラブコールが送られている。

私は1年間ほど滑川市民だったこともあり、滑川市には若干の思い入れがある。事実上富山市のベッドタウンになっているようだが、こじんまりとした暮らしやすい町だった。少なくとも『ガリバー 』富山市について個性を埋没させるのは惜しい。独立を保つという選択肢もよいが、財政的に苦しいようであれば魚津市のラブコールに応えるのがよいだろう。

射水広域圏

2004年03月05日

速報である。3月15日、射水広域圏・射水郡の 5市町村の合併協議会から小杉町が事実上の脱退を表明した。小杉町はかねてより新湊市を除く 4町村による合併を主張。他の 3町村が 5市町村合併を望み、同協議会が成立したという経緯がある。小杉町は今後、4町村合併を改めて推進するというが、果たして「射水市」を目指す 4市町村の結束を崩せるかどうか。地理的にもまとまり、人口も10,0000人に達する県内でも最も理想的な合併を果たそうとしただけに、小杉町のこの動きは理解に苦しむ。

射水広域圏市町村の人口
http://www.city.shinminato.toyama.jp/ 新湊市 http://www.town.oshima.toyama.jp/ 大島町 http://www.town.kosugi.toyama.jp/ 小杉町 http://www.town.daimon.toyama.jp/ 大門町 http://www.vill.shimo.toyama.jp/ 下村
37,287人 9,703人 32,355人 12,794人 2,018人

作成: 2003-11-10 14:01:16.0更新: 2003-11-10 14:01:16.0
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