鴨乃嘴南蛮宣言

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KAMONOHASHI Manifest

文書のタイトルを「宣言」などと名付けてしまったが、特段なにかを宣言するつもりはないので安心されたい。ようするに、「鴨乃嘴南蛮」の名前の由来を述べようというのが本文書の趣旨である。

「鴨乃嘴南蛮」は本ウェブサイトのタイトルであると同時に、本ウェブサイトの著者の匿名である。この匿名の由来であるが、姓「鴨乃嘴」がまず決まり、さらにしゃれで「南蛮」をつけたものである。

鴨乃嘴

まず、姓「鴨乃嘴」の由来を説明しよう。「動物と鳥が戦争をはじめたら、去就に悩む動物がいる。それは蝙蝠 (こうもり) だ。」そうだ。ちなみに出典は劇画ゴルゴ13の登場人物、「虫」という間諜が言った言葉。レバノンの立場の喩えだったように記憶している。このように、動物 (哺乳類)でありながら鳥のように空を飛ぶ蝙蝠は、どっちつかず、中途半端、あるいは日和見なものの暗喩として使用されている。同様に正体不明な生き物として、カモノハシがあげられる。「哺乳類・爬虫類・鳥類の中間に位置する動物」という説まで出るほど、分類学上の混乱さえ巻き起こしたことで知られている。

その混乱ぶりを紹介しよう。オセアニアから最初の標本がヨーロッパにもたらされた18世紀末には、「剥製師の創作したまがい物」だとさえいわれたそうだ。1824年には、乳腺が存在し子供に乳を与える(哺乳する)ことはが明らかになった。解剖学的な見地から産卵することは予想されていたものの、実際に卵が確認されたのは1884年。「卵を産む哺乳類」カモノハシは、同じ単孔目のハリモグラとともに、19世紀の動物学界を震撼させたのであった。

その形態・生態ともにまさしく哺乳類としては異常である。鳥類を思わせるくちばしは、餌であるザリガニや貝類の殻をすりつぶして食べるのに役立つ。食性に適応した鳥のくちばしとの収斂進化の結果なのかもしれない (ただしカモノハシは子供時代に乳歯を持つ)。その他に、水中の獲物の生態電流を感知して捕食することや、哺乳類で唯一毒腺をもつなど、ずいぶん奇妙なところのある生き物である。

著者は遍歴と放蕩の人生を送ってきた結果、まるでカモノハシのように正体不明のヒトになってしまった。「鴨乃嘴」姓の名乗りには、このような正体不明さを託しているのである。

南蛮

名前「南蛮」は、単に「鴨南蛮そば」からの連想でつけた。しかし、この「鴨南蛮」という名称も、はなはだけったいなのである。

そもそも食べ物で「南蛮」といえば、唐辛子をさす言葉である (一部地域ではとうもろこしをさすらしい)。「南蛮」の原義は、「東夷・西戎・北狄」とともに、中華思想において四辺の辺境にすむ人々に対する蔑称である。小中華・日本でも、16〜17世紀ごろ来航したポルトガル・スペインなどの西欧人を「南蛮人」と呼んだ。また、彼らが東南アジアからもたらした唐辛子も「南蛮」と称した。しかしながら、「鴨南蛮」で用いられているのは、葱である。葱は日本でも古くから栽培され、また原産地はユーラシア大陸中央付近らしいので、これを南蛮と呼ぶのはいろいろと無理がある。

調べてみると、この「鴨南蛮」という名前は、肉食文化と関係があるようだ。日本が仏教国として、肉食をタブーとしたのは 8世紀。もっとも、完全に守られていたわけではなく、江戸時代中期には肉料理の調理書が現れたらしい。このとき肉を使った料理として「南蛮料理」「南蛮鍋」という表記が出てくる。「南蛮人」は肉食をすることから、それに仮託してこのような名称になったのであろう。とくに南蛮鍋は、鳥類の肉と葱を使った鍋であり、「鴨南蛮」は鴨肉を使った南蛮鍋を指す。すなわち、「鴨南蛮」は鴨肉と唐辛子を用いた料理ではなく、鴨肉+葱の鴨南蛮鍋およびその系統の料理を指すわけである。偶然選んだとはいえ、名「南蛮」もまた筆者の人生のような紛らわしさをもっていたのである。

そしてこのウェブサイト

「カモノハシ」のように正体不明で奇妙。「南蛮」のようにまぎらわしくてけったい。本ウェブサイトもまさしく著者・鴨乃嘴南蛮のように、わけのわからない各種の話題で綴られて行くことになるだろう。

この文書は2000年12月02日に作成され、初代「鴨乃嘴南蛮」に「鴨乃嘴南蛮について」というタイトルで公開された。その後の経緯は不明なものの、2006年01月08日付けの「鴨乃嘴宣言」と改題および大幅に加筆された文書が発見された。本文書はそれにさらに加筆修正したものである。

作成: 2000-12-02 23:18:34.0更新: 2007-04-28 09:46:06.0
http://museo-anonimo.jp/nanban/?id=469,http://museo-anonimo.jp/nanban/tr/469