V-A-C-A-T-I-O-N

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このよい陽気の日々にヴァケーション、とくればどこかに出かけたのか、と思うかもしれないが、これがコンピュータのコマンドの話だというところが、おもうしろうてやがてかなしき鵜舟かな、である。

同僚から、あるアドレスに対するメールに自動応答し、できれば来たメールを保存したい、との質問を受けた。するすると、まるで息をするように「そりゃあ vacation つかえばいいよ。」という回答が出る自分がイヤだ。場面が場面だし、突然の「長期休暇」なんて回答に同僚が怪訝な顔をするのも無理はない。

それにしても、vacation なんてコマンド真剣に使った記憶がない。にも関わらず、その存在を忘れないばかりか、初めてこのコマンドを知ったときの周囲の状況をまざまざと思い出す。前の職場だ。暖かい陽射しの注ぐ5月だ。一人寂しく "Sun OS 3.x マニュアル" を読んでいてこのコマンドを発見したのだ。すると脳内でコニー・フランシスの "V-A-C-A-T-I-O-N" が鳴り響き、ああ、こんな優雅なコマンドがあるなんて、UNIX はいいなあ、と思ったのだ (比較の対象が MS-DOS であることが重要なポイントだ)。結局、そうやって四分冊の Sun OS コマンドレファレンスは通読したような気がする。楽しくもあり、孤独でもあった。

文学作品の一節、あるいはタイトルに万感迫る思いを抱く人は多いだろう。コンピュータのコマンド名だって郷愁ぐらいは誘うことがある。


作成: 2007-05-22 20:18:11.0更新: 2007-05-22 20:18:11.0
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