「マンガ少年」の思い出

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SFアニメ「地球へ...」の放映が始まり、妻が原作のマンガを買ってきた。確か、人類と新人類の相克を描いて、最終話に落胆した記憶がある物語、という記憶があったのだが、復刻版を読んでみると印象がまったく違う。読み終わって半日ほどたった今でも総括ができない。すなわち印象に残る物語で、ということは傑作ということだ。

どうしてそうなったのかと記憶を掘り起こしてみたのだが、どうやら「第1部・第2部あたりまでは連載を読んでいたが、それ以降は飛ばして最終話だけ読んだ」ということのようだ。さて、ここからは物語の内容に関する記述が入る恐れがあるので、承知の上読み進んでいただきたい。

当時の中学生が (おそらく) 五部構成の物語の前半しか読んでいないわけだから、テーマを取り違えるのも無理はない。その上、このころの少年マンガは単純明快を美徳としていたから、新人類の梁山泊に有力な豪傑が集結し、迫害者である人類を倒して大団円、という勧善懲悪なストーリーを予想するのも情けないが責めることもできまい。そうすると第2部で第二の豪傑新人類となるか、と思っていたシロエが死んでしまうとは「なんだこりゃ」と思ってしまうわけである。

しかもそのあたりで「マンガ少年」という雑誌を買うのはやめて、気になる連載だけ立ち読みするようになったのだ。当時は石川賢「聖魔伝」や松本零士「ミライザーバン」などを読んでいたので、正直いって複雑な梁山泊となっていった「地球へ...」はほとんどフォローしなかったのだろう。というか、立ち読みという時間制限つきでは限界だったのか。

どうして購読をやめたのか、確かな理由は思い出せないのだが、編集方針に疑問を持ったことは覚えている。マンガ少年ではおそらく一度だけ、「みやたけし」の野球マンガを掲載したことがある。その時の読者の反応がすごかった。「スポ根マンガなんか載せるなぁ!!」という非難が渦巻いたのである。これはかなり効いたらしく、私の記憶が正しければ、以後「根性」抜きのスポーツマンガすら掲載されることはなかった。

「おたく」などという言葉はなかった時代で、世のマンガ雑誌には「スポ根」がはびこっていた。後の世に「おたく」と呼ばれることになる人々からは「スポ根」が敵視されていた時代だったのだ (今はどうか知らないが)。名前すらなかった「おたく」予備軍は、「マンガ少年」を聖域として確保したかったのだろう。あるいは、「マンガ少年」は多少なりとも前衛的なマンガ誌を狙っていたような気もするので、庶民的な「スポ根」を嫌ったのかもしれない。

今でも決して「スポ根」を好きではないのだが、「少年」マンガ誌として「スポ根」を排除していまうのはどうか、という違和感を感じたのだった。あるいは、単に「前衛につき合いきれなかった」ということなのかもしれない。

ところで、「地球へ...」は一度アニメ映画化されている。その主題歌を歌ったのがダ・カーポというペアなんだけど、「アニメタイアップで久々のヒットに恵まれそうです。」というコメントを出していた。けれどちっともヒットしなかった。「冬がくる前に」は名作だったんだけど、映画版「地球へ...」の主題歌はすごいよ。どのくらいすごいかというと、「もしこの記事がきっかけでうっかり聴いてみたからといって、私に石を投げないでね。」とお願いしちゃうぐらいの破壊力だよ。


作成: 2007-06-07 23:08:07.0更新: 2007-06-07 23:08:07.0
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