ドライ戦争の思い出

<< 戻る   トップ >>

凄味
よく見りゃ「すごみ」とふりがなまで振ってある。それにしても、サッポロなら赤い星の方が似合うと思う (他意はない)。

土曜日にはビールをしこたま飲んだのだが、ビールを飲むというのはすっかり贅沢になってしまって、普段は発泡酒だ。今日はサッポロの「凄味」という新製品をいただいている。お恥ずかしい話だが、しばらくの間「すごあじ」と読んでいた。すげぇネーミングだな、と思ったのだが正しくは「すごみ」だ。すなおに読めば「すごみ」でしかないのだが、ほら、ビールには「あきあじ」とかあるものだからつい「すごあじ」と読んでしまった。

それで、今日気がついたのだが、この凄味、アルコール分が 6%もある。ビールのアサヒスーパードライが 5.5%で、それよりもアルコール度数が高い。それで思い出したのがアサヒスーパードライ発売後に勃発した「ドライ戦争」である。ときに1988年のことであった。

いまでこそ珍しくもないが、おしなべて白地だったビールのラベル・缶に銀色を纏って出現したスーパードライの衝撃はすごかった。あっという間に市場を席巻し、現在に至るわけだが、アサヒ以外のビール製造各社もこのドライブームに追随し、ラベルが銀色だったり名称の一部にドライを冠したビールを発売した。世にいう「ドライ戦争」の勃発である。開発に時間をかけ、満を持して「ドライ」を世に問うたアサヒを追う立場の各社は苦労した。それまでのビールのアルコール度数、4.5% を上回るアサヒスーパードライ。それに対抗する「ドライ」感を出すには、とにかくアルコール度数を上げればよい、と短絡したメーカーも現れ、アルコール度数6%、はては 7%の化け物まで出現した。

それまでの普通の生が4.5〜5% だったから、かなり思い切った設定だ。さすがに 7% に達すると、感想は「エタノール臭い。これはビールじゃない」というレベルになる。まさか醸造アルコールを足したんじゃないだろうな、と疑ったくらいだ。今ではベルギービールなど、アルコール度数の高いビールの存在は知っているが、ベルギービールにはベルギービールの飲み方があるのであって、日本式にキンキンに冷やして飲むビールに 7%は行き過ぎだった。ちなみに、メーカー名はわざと伏せているのではなく、7% ドライを出したのがキリンだったかサントリーだったかあやふやなのだ。たぶんサッポロじゃない。

結局「ドライはアサヒ」で戦争は終結し、キリンは「一番絞り」、サントリーは「モルツ」でドライとは違ううまさを追求することになった。サッポロは未だに行く先を見出せずにいるように思う。そのサッポロの「凄味」だが、なかなかよい。

アサヒのスーパードライ開発物語は起死回生のプロジェクト X として有名だが、スーパードライ発売の1年ぐらい前から突然「アサヒ生」がおいしくなった。「凄味」の味がサッポロ巻き返しの予兆、となってくれればと願う。


作成: 2007-06-11 22:46:08.0更新: 2007-06-11 22:46:08.0
http://museo-anonimo.jp/nanban/?id=511,http://museo-anonimo.jp/nanban/tr/511