1円玉7枚分

<< 戻る   トップ >>

「犬が人を噛んでもニュースにならないが、人が犬を噛むとニュースになる」という警句がある。てっきり希代のジャーナリストにして毒舌家、大宅壮一氏の発言だと思っていたのだが、どうやら起源は別にあるようだ。

google 経由で調べてみると、Kawamura 氏の「勉強さしてもらいます!」に寄せられた「うにうにさん」の回答で、「20世紀初頭に,英国の著名なジャーナリスト,Alfred North Cliffe」氏によるものとなっている。おそらくこれはイギリスの新聞王、 Alfred Northcliffe 子爵 (1865-1922)のことだろう。

日本語版よりはちょっとは頼りになる英語版の wikipedia によれば New York Sun の編集者 John B. Bogart 氏によるとしている。wikipedia ではさらにこの情報を "Bartlett's Familiar Quotations, 16th edition, ed. Justin Kaplan (Boston, London, and Toronto: Little, Brown, 1992), p. 554."から出典としている。どうやらこの "Bartlett's Familiar Quotations" は英語圏では有名な「ことわざ辞典」らしい。同じく英語版 wikipedia によれば Bogart 氏は 1873年から1890年まで New York Sun の記者を勤めていてた。

「うにうにさん」説の方がやや分が悪い感じだが、もしかすると英国人と米国人が「うちが最初だ」と争っていてるのかもしれない。どっちにしろ、これ以上起源を調査する気にもならない。確かなことは、大宅壮一氏の発明ではない、ということだ。

それはともかく、なんでこんなことを調べる羽目になったかというと、昨日 (12日) のasahi.com の記事に「海自ヘリ、7グラムのアルミ板を落とす」というのがあって、これは果たして「人が犬を噛んだ」ニュースバリューがあるのか、少なくとも全国版に載せるほどの記事なのだろうか、と思ったからであった。もちろん、「犬が人を噛んでも...」の警句はジャーナリズムを揶揄したものであって、人が犬を噛んでも立派なニュースになるのであるが、それにしても1円玉7枚分のアルミ板ですよ。ちなみに毎日も読売も無視ですよ。もしかして、朝日は海上自衛隊鹿屋航空基地が馬鹿がつくほど正直に (失礼) 発表したところにニュースバリューを見出したのだろうか。そりゃ、1円玉7枚でも対消滅すれば名古屋ドーム 7杯分の温湯が作りだせるんだけどさ。


作成: 2008-01-13 22:38:31.0更新: 2008-01-13 22:38:31.0
http://museo-anonimo.jp/nanban/?id=599,http://museo-anonimo.jp/nanban/tr/599