のだめカンタービレ Lesson 124

<< 戻る   トップ >>

講談社 Kiss 連載の二宮知子「のだめカンタービレ」はここのところどうも盛り上がりに欠けたヌルい展開が続いていた。え?どうなるの?早く続きを... ということは久しくなかったような気がする。もしかして千秋の指揮コンクール以来だろうか。

思えばここのところこの物語には「悪役」が不在だったようだ。問題のコンクールのライバル・ジャンは「強敵と書いて『とも』と読む」キャラクターで最初から悪役ではなかったし、ルー・マルレ・オーケストラのコンマスのシモンさんもやはり悪役としてはちょっと小粒で結局小姑味のいい人だった。「天才ピアニスト」ルイもまた「強敵と書いて『とも』と読む」系であった。ここのところ「のだめ・千秋」に立ちはだかる強大な悪役は不在で、あえていえば「理想の音楽」というつかみどころのない敵だけだったように思う。

敵が「理想の音楽」というのも悪くはないが、物語としておもしろい悪役ではない。だいたい勝敗のつく相手ですらない。どうかするとこの物語はいきなり時間を飛ばして10年後ぐらいの野田恵と千秋真一によるカーネギーホールにおけるピアノ協奏曲演奏シーンで終わってしまうのではないかと危惧すらした。しかし、ここに来て強大な悪役の登場だ。

少年ジャンプではないので、「強敵を倒したらさらなる強敵が...」なんて野暮なパターンではない。満を持しての復活だ。それもゲーテ「ファウスト」の悪魔、メフィストフェレスとして帰ってきた。そしてそのメフィストフェレスとしての登場が、千秋がその恩師ヴィエラの「ファウスト」リハーサルを見学しているシーンへとつながる。期待させる演出である。

ヴィエラが指揮するのはベルリオーズの「ファウストの劫罰」か、それともグノーの「ファウスト」か。どちらも未聞である。いずれにしろ、ファウストがメフィストフェレスに魂を売渡すシーンの音楽には絶望と希望の入り交じったすさまじいものであろう。ぜひ聞いてみたいものだ。ファウストは死せるマルガレーテの愛によって最後には救われる。さて、ワルプルギスの夜が始まる。


作成: 2008-06-13 23:19:33.0更新: 2008-06-13 23:19:33.0
http://museo-anonimo.jp/nanban/?id=652,http://museo-anonimo.jp/nanban/tr/652