裁判員候補者名簿登録通知に関する一考察

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「裁判員候補者名簿に登録されたこと」については法によって「公にすることが禁じられている」のだそうだ。本ウェブサイトは一応匿名で公開されており、サイト作者を知るのは「家族や親しい人」だけなので、もし裁判員候補者名簿に登録されたとしても、それを公表しても「公にした」ことにはならず問題はない。

ところで、「裁判員候補者名簿に登録されなかったこと」ついては公にしてよいのだろうか。理論上、登録しなかった人がすべてそれを公にした場合、公にしていない人が登録された人ということになる。しかし、候補者名簿に登録される確率は 1/352 だそうだから、351/352 を占める非登録者のほとんどがそれを表明することは実質的にありえないので、「裁判員候補者名簿に登録されなかったことは公にしてもよい」のだろう。

問題は、「毎年」裁判員候補者名簿に登録されなかったことを公にする場合だ。例えば、毎年年頭に「今年も裁判員候補者名簿には登録されませんでした。ラッキー」などと公に表明していたヒトがある年沈黙を守ったとすれば、それはやはり「ああ、ついに当たったか。」ということになるだろう。

さて、裁判員候補者名簿に登録されたことを公にすることを禁じている理由の一つは、非登録者自身の安全確保ということもあるらしい。ハードボイルド作家・東直己氏は「裁判員」というエッセイの中で「ヤクザもんの情報収集能力というのは、驚くべきもので、裁判員の身元を突き止めるのは、いとも簡単だ。」と述べ、裁判員自身が逆恨みによる脅迫や報復を受けることを懸念している。候補者名簿登録の段階からそのことは秘匿しておいたほうが安全といえば安全だろう。「名簿に登録されなかったこと」も含めて公にしない方が無難である。

一方、「名簿に登録されなかったことを公にし続ける」という手法を使って、いざ名簿に登録されてしまったときの辞退の理由として使えないだろうか。登録通知を受け取った場合、法にしたがって「登録されたこと」を公にはしない。登録されたのに「登録されなかった」と公にすることは、虚偽であるのでできない。結果として、名簿に登録されたことが強く類推されることになる。そこで、「自身の生命と財産の安全のため」や「裁判の公正さの確保」のために、名簿に登録されたことが容易に推し量れる自分としては、裁判員候補を辞退するのである。もちろん、こんな屁理屈は通用するはずがない。

ところで、「裁判員候補者名簿に登録された」ヒト自らがあえてそれを「公にした」場合、罰則はないらしいのだけど、それはそれで裁判員候補者としての欠格事由にならないのだろうか。要するに、どうしても裁判員やりたくないヒトが「わたしは候補者名簿に登録された」と公にして「ほら、わたしは裁判員にはなれません」とか言って辞退することって、可能なんだろうか。「公にした」ことについてはともかく、裁判員の忌避にはなんか罰則があるんだっけ?


作成: 2008-12-08 11:41:37.0更新: 2008-12-08 11:41:37.0
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