F-18 30周年

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雑誌「航空ファン」を見ていたら、ノースロップ F/A-18 ホーネットが30周年を迎えたのだそうだ。ここでそれを寿ぐのかというとさにあらず。実はホーネットは昔から嫌いな航空機なのである。そもそも、ノースロップの自主開発軽量戦闘機 P-530 コブラであったころには可愛げもあった。それが成長して YF-17 として YF-16 との競争に敗れたのだが、やはり美しい飛行機の方が性能がよいのだということをつくづく納得させてくれる結末ではあった。美醜は個人の主観ではあるが、YF-17 が醜く見えたのはコクピット後部から背部へ流れるコブのようなラインがなんとも不細工に見えたのである。また、特徴的なストレーキもアイデアはともかく F-16 のウィングがブレンデッドしたボディよりは陳腐に見えた。それに垂直尾翼の取り付け位置には大きな間違いがあるように見えた。

この敗北でおとなしく引退してくれれば、F-20 同様「うーん、ノースロップには時の運がないなあ」ということで悲運のおもしろ試作機という好評価を与えてもよかったのだが、この後いろいろと雲行きが怪しくなる。アメリカ海軍は価格高騰しまくりの F-14 トムキャット にかわる安価な補助機を購入するように議会に迫られていた。本当ならちゃんと初めから開発したい所だが事情が事情だけにそんな金のかかることは許してもらえない。でも議会の言う通り F-16 の海軍型を買うのは癪にさわる。そんなわけで、破れかぶれで F-17 を海軍型の F-18 に改造することにした。しかも、その改造を海軍機の経験の浅いノースロップではなく、マクダネルダクラスにやらせることにした。メーカーにも、軍にも、国民 (議会) にも、そして私にも、「誰にも愛されていない戦闘機」の誕生である。

しかもこの後のマクダネルダグラスの改造が悲惨だった。「F-17によく似た新型機」を作れと命じられた開発陣も災難だが、予定していた性能に達しない。やっぱり「どうしてその形になったのか」が分かっていなかったのではないだろうか。それとも愛の欠如が原因か。マクダネルダグラスの商売もひどかった。ノースロップとは「艦上型はマクダネルダグラス、陸上型はノースロップが製作・販売する」という約束があったのにもかかわらず、空母をもたない国の空軍にまで艦上型を売り込んだのだ。このあたりのマクダネルダグラスのやり口はどうにも好きになれない。

アメリカ海軍へ配備された後、それなりに忠実に働くのでさすがに「誰にも愛されていない」わけではなくなり、マクダネルダクラスが背面やストレーキを切ったり貼ったり (本当に) したおかげで多少は見られるようになった。さらにステルスで三角なおもしろ攻撃機 A-12 計画が中止されたおかげで作られたさらなる改造型 F/A-18E/F では、F-17 というより F-15 海軍型という姿になり、まともな性能を手に入れたらしい。そして初飛行以来30年。憎まれっ子世に憚る、というわけだ。


作成: 2009-01-05 21:15:06.0更新: 2009-01-05 21:15:06.0
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