老兵は死なず ーただし去りもせずー (下)

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キューブ型パソコンのリアパネル
図1. パソコンのリアパネル

せっかくなのでボードから引き回すというのはどのようなことなのかを説明しよう。図1. は職場のパソコンのリアパネルである。"A-Open" と書かれた電源収納部の下に一部隠れているが、周辺機器との接続端子がならんでいる。このあたりにある端子は「オンボード」、すなわちマザーボード上にある端子である。20世紀にはこの部分にシリアルポートというものが必ずあったものだが、このマザーボードにはない。一方、電源収納部の下横にならんでいる部分は本来拡張カードを収容する部分である。多くの拡張カードでは外部への接続端子があるので、そのような端子がここに並ぶ。このパソコンでは、一見「HDTV 拡張カード(黒い S-VHS端子をはさんで、緑・青・赤と黄色のRCAピンジャックを装備)」と「シリアルポート拡張カード」が装着されているように見える。

パソコンのリアパネル(内側)
図2. 拡張カード装着部分をパソコン内部から見る

なぜ「カードが装着されているように見える」などと持って回った言い方をするのか。この二つの「拡張カードもどき」をパソコン内部からみると、図2.のようになってる。右側のHDTV拡張モジュールには基板がついていて「もしかすると拡張カード?」とも思える。しかし、拡張カードであるならばマザーボード側にある「拡張スロット」に接続されるはずであり、実は拡張カードではない。左側のシリアルポートモジュールに至ってはまさに端子と配線しかない。

基本的に二つのユニットは拡張カードではなく、単に接続端子と簡単な基板と配線だけがある「フタ」に過ぎないことがわかる。

パソコン基板上のコネクタ
図3. 基板上のコネクタ

この「フタ」モジュールから発している配線の行き先が実はマザーボードなのである。図3. で中ほどに見える青緑色の双子の端子、これがオンボード(マザーボード上)のシリアルポート端子である。この端子とシリアルポートモジュールを接続することにより、21世紀のパソコンはようやくシリアルポートを使用できるようになるのだ。なお、多くのメーカー製PCやノート/コンパクトPCではオンボードの端子すら省略されていることがある。

さて、これでようやく「老兵」の物語に戻ることができる。「老兵」を誤って死んだことにしてしまったのは、当初用いていたシリアルポートモジュールでは DP-300 と接続できなかったためだ。単純過ぎるパーツではあるが、そのモジュールに断線その他の不具合があったのかもしれない。もうひとつの可能性は規格の問題だ。このようなオンボード端子の場合、ピンアサインの規格がマザーボードメーカーごとにばらばらだったりすることがある。というか、基本的には規格はない。ただし、歳月が緩やかな統一をもたらすことはあるのだが(どこか知らない所で規格統一の話し合いが持たれているのかもしれないが)。したがって、単に規格違いのモジュールを使用していた可能性も否定できない。

とにかく、そのせいで一度は死亡宣告された DP-300 だったが、「念のため」USB/シリアル変換器を経由して接続して見たところ、生存が確認されるとともに不具合の疑惑はマザーボードかシリアルポートモジュールに移ったのであった。

念には念を入れてみるものだ。実は後継機の選定にまでかかっていたのであった。すまなんだ DP-300。君が壊れたら後継機を導入するかどうかさえ定かではないので、老骨に鞭打って頑張ってくれたまえよ。

ところで、タイトルはマッカーサー元帥の引退の辞、「老兵は死なず、ただ去りゆくのみ」をもじったもの。今 Wikipedia で調べたら「去りゆくのみ」ではなく「消え去るのみ」とある。原語では "Old soldiers never die. / They just fade away." だそうだ。どちらにも趣きがあるので、当時の新聞の訳が時代精神を反映して正しい訳、としておきたい。どちらだったのかは分からないが。


作成: 2010-02-05 15:27:50.0更新: 2010-02-05 15:27:50.0
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