続・ロッキード S-3 バイキング

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残念なアメリカ国籍マーク

ハセガワの 1/72 バイキングについては、ひとつ残念な思い出がある。それは決してキットの内容ではなくて、作った時の大失敗だ。バイキングはアメリカ海軍の対潜哨戒機なので当然アメリカの国籍マークがつく。アメリカの国籍マークには五芒星が描かれているのだが、機種側面のマークの一つを上下逆に貼ってしまったのだ。完成してからも、このミスになぜかなかなか気づかなかったのは何故だろう。完成したプラモデルに無条件にうっとりする性癖か、ミスが大きければ大きいほど見落としがち、というやつか、はたまた「粗忽」か。

そのようなまさしく航空趣味に入門してまもなく接したロッキード S-3 バイキングが「世界の傑作機」になった。最近の「世界の傑作機」では現役機はとりあげない。したがって、ついにバイキングも引退となった、ということだ。ならば後継機の S-4 が配備されたかというとそういうわけでもなく、ちかごろの流行りで F/A-18F あたりを改造して SF/A-18 でも仕立てたかというとそうでもない。対潜哨戒任務は陸上機である P-3 と対潜ヘリコプター SH-60 で行うんだそうだ。したがって、艦載対潜機は対潜ヘリだけとなる。

そもそも、艦載対潜哨戒「機」が必要だったのは、ソビエト連邦という潜水艦大国と冷たい戦争を戦っていたためだ。しかもバイキングのように、艦載対潜哨戒「ジェット機」である必要があったのは、ソビエトの攻撃型の原子力潜水艦が多数であったため、艦隊防衛のためには広範な捜索範囲を素早く走査する必要があったためだ。このことを鳥飼鶴雄氏は「世界の傑作機」への寄稿「最後の艦上対潜哨戒機S-3バイキング ーそのコンパクトな外形を生んだ設計の課題ー」の中で、このころの対潜哨戒機は、「低空を低速で這い回るもの」ではなく、「高速で進出し、広域をソノブイで囲み込む」必要があったと指摘している。長年、バイキングはターボプロップのほうがよかったのではないか、と思っていた疑問がこの論文で氷解した。

ならば、現在のロシアとの関係や中国の潜水艦戦力ならば、そもそもこれほど大げさな対潜システムは必要なくなるのだ。プラモデルを作った機種の引退は残念ではあるが、なんだかんだで潜水艦戦においては世の中が平和になったということなのだろう。


作成: 2010-03-10 13:28:20.0更新: 2010-03-10 14:01:42.0
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