実名のインターネット - 迷惑メール

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「実名登録」のFacebook がきっかけで、インターネットでの実名使用についていろいろと考えてみた。前回は古き良き商用利用の始まる前のインターネットでは、実名使用になんの疑問も問題もなかったことを懐古した。

古き良き、と言ったがなぜ「古き良き」時代であったかというと、性善説に基づいたシステムがうまく機能していた時代であったからだ。もちろん、誹謗中傷の類がなかったわけではないし、Net News の合意形成に失敗してごたごたが起きた、ぐらいのコトはあったのだが、今日の殺伐としたトラブルに比べれば平和だったとしてもよいだろう。

そんなわけだから商用利用が始まった直後ぐらいには、ウェブページにメールアドレスを記述するのはあたりまえどころか、ウェブの内容に対する質問・意見を収集するために「記載すべき」と考えられていたのである。昔も今もウェブサイトのリンクを自動的にたどっていくプログラム作成は難しいものではないし、メールアドレス xxx@yyy.zzz を文中から探すというのは正規表現の初歩的な練習問題だ。したがって、ウェブからメールアドレスを収集するというのはそれほど難しい処理ではなかったのだ。そのように収集されたメールアドレスは商用のメール発信に利用されるようになったし,データとして流通するようにもなっていく。送り手の善意・悪意はともかく、迷惑メールの登場である。

迷惑メール、あるいは SPAM メールとインターネットでの実名使用はよく考えてみれば関係ない。あだ名であろうと偽名であろうと迷惑メールは送られてくるのである。しかし、初めて登場したころは「実名をベースとしたメールアドレス」に対して、それこそ本物のメールの数十倍にたっする迷惑メールが送られてきたのだ。実名ベースの個人情報であるメールアドレスに対する攻撃であったために、本来「メールアドレスを公開しない」という対策でよいはずのものが「インターネットでの実名使用は危ない」という誤った印象を受けてしまったのである。

その昔は、電話帳に住所氏名が普通に掲載されていたことからもわかるように、個人情報の扱いがおおらかだった。その遺風か、ごく最初のうちはウェブサイトに住所・電話番号なども記載した個人もいた。場合によっては身に覚えのない通販商品などが届いたこともあったようだ。メールアドレス・住所・電話番号の悪用により、それを統合する個人情報=実名の使用に対する警戒感が醸成されてしまったのではないだろうか。


作成: 2011-03-26 11:12:08.0更新: 2012-07-01 01:02:16.0
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